海外で出産する場合、産後に重要な手続きがいくつもありますね。
そのうちの2つが子供の出生届を提出して戸籍に登録することと、パスポートを取得することです。
また日本人の子供がアメリカで生まれると、日米両方の国籍を持つことができますね。
そしてパスポートも2カ国分必要になります。
今回はアメリカで生まれた赤ちゃんの日本のパスポートを取得する方法を紹介していきます。
- 海外で子供のパスポートを申請する方法を知りたい
- アメリカで生まれた子供の日本パスポートを取得したい



日本のパスポート申請に必要なもの
まずはパスポート申請に必要なものを在外公館のウェブサイトに掲載されている順で確認していきましょう。
- 一般旅券発給申請書 1部
- 戸籍謄本(抄本)原本1部
- パスポート用写真 1枚
- 両親の写真付き身分証明証 各1部
- 米国での有効な滞在資格を示す文書 コピー1部
- 現住所を確認できる書類 1部
- 申請手数料
1、一般旅券発給申請書
パスポート申請用紙です。
用紙の入手方法は3つあります。
- 外務省のウェブサイトからダウンロードして印刷
- 在外公館窓口で受け取る
- 在外公館から郵送で取り寄せる
外務省のウェブサイトを利用する場合、ブラウザ上でパスポート申請書に記入して印刷することができます。
申請者の署名
未成年のパスポートであっても署名欄は申請者本人の署名が必要になります。
ただし、字を書くことができる年齢(6歳以上)に限ります。
署名ができない年齢であれば法定代理人(両親のいずれか)が代理で署名します。
赤ちゃんのパスポートであれば代理署名になりますね。
両親権者の同意
未成年者のパスポート申請には、両親権者の同意が必要です。
在外公館では申請時に両親権者の同意の有無を確認しています。
その理由は2つあります。
- 法定代理人の署名は両親権者の代表である
- ハーグ条約加盟国に住む在留邦人がトラブルに遭遇することを防ぐため
申請書の法定代理人署名欄には両親の片方が代表して署名をしていますが、これは両親権者の同意のもとに行っているとみなされています。
そして国によっては一方の親権者が、もう一方の親権者の同意なく子供を国外に連れ出すことを犯罪と定めている国もあります。
意図しない行動が連れ去りや留置と認識され、刑罰を受けることや不利益を被ることを未然に防ぐためにパスポート申請時に両親権者の同意があることを確認するようにしているのです。
日本国内の緊急連絡先
海外でパスポート申請者に万一のことがあった場合の日本国内の連絡先です。
家族、親族、友人、勤務先などの連絡先を記入します。
申請者の安全と保護の観点から、空欄にすることは避けましょう。
日本に頼める人がいない場合は、在住国の家族や友人などでも構いません。
2、戸籍謄本(抄本)

生後3ヶ月以内に出生届を在外公館または日本の役所に提出します。
赤ちゃんの戸籍登録後に役所で戸籍謄本または戸籍抄本を取得します。
ただし、6か月以内に発行されたものに限られます。
出生届と戸籍登録については別記事で詳細をご覧ください。

3、パスポート写真
パスポート用の写真を撮影し、印刷します。
カットは在外公館で行うので、写真は切らずに持参します。
外務省のウェブサイトに細かな条件があるので、この要件を満たしているか確認しながら準備します。
パスポート写真の要件
- 写真サイズは35mm×45mm(ふちなし)
- 顔は顎から頭の上まで3.4cm±0.2cm以内
- 6カ月以内に撮影したもの
- 正面を向き、無帽で撮影したもの
- 背景は無地のみ(白または淡い色)
- カラーでも白黒でも可
- 鮮明であること(焦点が合っていること)
- 明るさやコントラストが適切であり、影のないもの
赤ちゃんの写真は撮影が難しいので無地のシーツやタオルなどを敷いてその上に寝かせて撮るのが簡単です。
もしも顔がせわしなく動くなら、タオルで頭を固定する、カーシートに白いタオルを敷き、赤ちゃんを座らせて撮影する方法もあります。
撮影場所
各種証明写真の撮影はCVSやWalgreensなどの薬局、フォトスタジオでできます。
しかし、赤ちゃんの場合は自宅で寝転がせて撮影する方が簡単でおすすめです。
印刷方法
家庭のプリンタの他、CVSやWalgreensなどの薬局、スーパーマーケットのプリントサービスで印刷可能です。
自宅で撮影した写真を印刷するときはアプリを使うと大きさや明るさが調整できて便利です。
アメリカと日本のパスポート写真のサイズは異なりますが、顔まわりのサイズが同じです。アメリカのパスポート写真をカットすればそのまま日本のパスポート写真にも利用できます。カットは在外公館で行うのでアメリカのパスポート写真をそのまま持参すれば大丈夫です。
4、写真付きの身分証明書
赤ちゃんや子供で写真付きの身分証明書がない場合は、申請時に両親のパスポートを見せます。
5、米国での有効な滞在資格を示す文書
一般的にはビザやグリーンカードを提示します。
アメリカで生まれ、市民権を持っている赤ちゃんはアメリカの出生証明書(Birth Certificate)が該当します。
アメリカの出生証明書(Birth Certificate)の入手方法についてはアメリカのパスポートを取得する方法にも記載しているので詳細をご覧ください。

6、現住所を確認できるもの
運転免許証、郵送物などを提示します。
7、申請手数料
12歳未満のパスポート申請手数料は$55です。
未成年者は有効期間が5年用のみです。
支払いはおつりがないよう現金を用意しておきましょう。
郵送で仮申請の場合に追加で必要なもの
管轄の在外公館から遠隔地に住んでいる場合は事前に郵送で仮申請を行い、受領日と同日に正式に申請することができます。
遠隔地旅券発給同意書
同意書に交付希望日を記入し、他の必要書類と一緒に郵送します。
【非ヘボン式の表記について】
パスポートの氏名表記が非ヘボン式または別名併記の場合は外国式氏名のつづりが確認できる公式の書類(アメリカの出生証明書)のコピーが必要です。
そして日本名であっても外国人が発音しやすい表記を選ぶ場合もありますね。例えば「りさ」や「るな」などはヘボン式であれば「R」を使いますが、実際の発音は「L」の方が近いです。
外務省の公式サイトには以下のように記載があります。
国際結婚や両親のいずれかが外国人、又は二重国籍等により、外国式の名前をヘボン式ローマ字以外の表記で記載することを希望する場合には、その綴りが実際に使用されていることを示す書類(出生証明書、婚姻証明書、配偶者や父母の外国旅券等)の提出をお願いしています。
また、パスポートを一度取得された後の表記の変更については、原則変更できないので気を付けましょう。
日本のパスポート申請手順
次に日本のパスポートを申請するまでの手順を紹介します。
出産直後に申請するのでなければ、手順②以降はしばらく時間が空くと思います。
- 出生届の書類を記入し、在外公館へ提出
- アメリカの出生証明書の申請、受け取り(郵送、ウォークインどちらも可能)
- 日本の戸籍に反映された後、戸籍謄本(抄本)を取得してアメリカに送付
- パスポート申請に持参するものを一式揃える
- 子供のパスポート申請用紙の記入
- パスポート用写真撮影
- 在外公館または郵送にてパスポート申請
- パスポートを在外公館で受け取る(本人受け取り)
在外公館にてパスポート申請

居住地域の管轄の在外公館で申請します。
原則本人が申請することになっていますが、未成年者のパスポート申請は親権者が代理申請を行うことも可能です。
代理人は身分証明書(パスポート、米国運転免許証など)の持参が必要です。
持参するもの
- 一般旅券発給申請書 1部
- 戸籍謄本(抄本) 原本1部
- パスポート用写真 1枚
- 両親の写真付き身分証明証
- アメリカの出生証明書 1部
- 申請手数料$55(12歳未満5年用)
支払い方法方法は現金のみのところが多いのでおつりがないように準備していきましょう。
新型コロナウイルスの影響によって在外公館を訪れるときは予約が必要です。必ず予約をしてから手続きをするようにしましょう。
出張サービスで申請する
管轄の在外公館から遠隔地に住んでいる場合は出張サービスの機会を利用するのが便利です。
定期的に出張サービスを行っているのでタイミングを合わせて申請しましょう。
郵送で仮申請する
管轄の在外公館から遠隔地に住んでいる場合は事前に郵送で仮申請を行い、受領日と同日に正式に申請することができます。
パスポート申請に必要なもの一式に加えて遠隔地旅券発給同意書を同封します。
日本のパスポートの受取方法
在外公館オフィスで本人が受け取ります。
身分証明のための重要な公文書なので、なりすましを防ぐために本人確認を直接行った上で交付する必要があります。
年齢に関係なく、小さい赤ちゃんであっても受け取りには本人が在外公館を訪れて受け取ります。
パスポート申請にかかる期間
一般的には1週間程度(土日祝日を除く)です。
受け取り方法でも触れた通り、重要な身分証明書なので、交付された後はなるべく早く受け取ることを推奨しています。
急いでパスポートを取得したい場合

アメリカのようにパスポート申請から取得までの日数を短くする方法はありません。
その代わり緊急で帰国しなければならない状況になった場合は、「帰国のための渡航書」がパスポートの替わりとして利用することができます。
帰国のための渡航書
緊急に帰国しなければならない特別な事情がある場合、帰国のための渡航書を発行してもらい、日本に入国することが認められています。
出生届を在外公館に提出後、まだ戸籍に新生児の名前が記載されていないためパスポートの申請が出来ない場合に限り発給できます。
ただし、パスポートではないので、日本入国と同時に失効します。
海外居住者は日本滞在中にパスポートを取得して出国する必要があります。
そして有効期間が約7~10日間程度のため、帰国予定日の数日前に申請しなければ失効してしまいます。
申請に必要なもの
前述したパスポート申請に必要なもの一式に加えて、搭乗者名・帰国日・便名の記載のある航空券(Eチケットまたは、航空券予約表)を持参します。
申請手数料
$23で現金のみの支払いです。
申請から受け取りまでの期間
在外公館で即日発行されます。
手続き、作成、審査に数時間かかるので閉館までに余裕を持って申請に行きましょう。
日本直行便または「帰国のための渡航書」で入国可能な国で乗り換えをして帰国する場合に限り発給されます。乗り換え便を利用する場合は航空券の購入前に航空会社に確認しましょう。新型コロナウイルスの影響により,乗り換えができない可能性があります。
まとめ 日本のパスポート申請
最後にもう一度要点をおさらいしてみます。
- 未成年のパスポート申請は両親権者の同意が必要
- 申請は代理人が行うことも可能
- 在外公館の遠隔地に住んでいる場合は出張サービス並びに郵送で仮申請を利用できる
- 受領は必ず本人が受け取りに行かなければならない
- 緊急時には「帰国のための渡航書」で日本へ入国できる
- 一般旅券発給申請書 1部
- 戸籍謄本(抄本) 原本1部
- パスポート用写真 1枚
- 両親の写真付き身分証明証
- アメリカの出生証明書 1部
- 申請手数料
事前準備をしっかりしてスムーズに手続きが行えるようにしましょう!

