海外で子供が生まれたら必要な手続きのひとつにパスポートを取得するということがありますね。
出生届を最速で戸籍に反映する方法についての記事でも述べましたが、海外に住んでいると日本大使館、領事館を通した戸籍の登録には時間がかかります。
それゆえ戸籍謄本が必要なパスポートの取得にも時間を要することになります。
もっと早く子供のパスポートを取得したいと思う方もいることでしょう。
そこで日米両方のパスポートをより早く取得する方法を私の経験も踏まえながら紹介します。
- 現在妊娠中で、海外出産後に一時帰国を考えている人
- 海外出産後、早い時期に本帰国の可能性がある人
- 産後数カ月以内にアメリカから近隣国に旅行に行く予定がある人

日本とアメリカのパスポートはどれくらいの期間で取得できる?
まずは子供が生まれてからパスポートを取得するまでにかかる期間をみていきましょう。
- Birth Certificateを申請してから届くまでに2~4週間程度
- パスポート申請してから届くまでに4~6週間程度(※本人、両親揃って申請)
- 在外公館に出生届けを提出し、戸籍に反映されるまでに2~3ヶ月程度
- パスポート申請してから発行までに1週間程度(※本人同行の上、窓口で受け取り)
こうして見ると日本でパスポート取得手続きをするよりもはるかに時間がかかることがわかりますね。
私はアメリカで2回出産し、第一子が生後4ヶ月のときに一時帰国、第二子が生後2ヶ月のときに本帰国をしました。
通常の手順ではパスポート取得が間に合わない、ということでより早くパスポートを取得できる方法を検討しました。
その結果、子供が生まれてから4週間で日本とアメリカ両方のパスポートを取得することができました。
(※2018年以前に行った手続きに基づいた情報です。新型コロナウイルスの影響によるルール変更は後半に記載しています。)
日本に入国するときはアメリカのパスポートだけでも大丈夫?
多重国籍保持者の場合、基本はアメリカの出入国にはアメリカのパスポート、日本の出入国には日本のパスポートを使うことになっています。滞在期間が3ヶ月以内の一時帰国ならばアメリカのパスポートで出入国し、アメリカ人として滞在することも可能ではあります。そして一時帰国中に日本のパスポート申請をして取得することもできます。
また、緊急に帰国しなければならない特別な事情がある場合、帰国のための渡航書を発行してもらい、日本に入国することが認められています。新生児の出生届を在外公館に提出後、まだ戸籍に名前が記載されていないためパスポートの申請が出来ない場合が該当します。
珍しいケースかもしれませんが、会社指示で日米どちらのパスポートも発行せず、アメリカの出生証明書と帰国のための渡航書のみで本帰国した友人がいました。想定していたとはいえ、アメリカ出国時に空港で別室に連れて行かれ、手続きに時間がかかって大変だったと聞きました。
乳児連れで長時間フライトの前後にトラブルは避けたいので、少なくともアメリカのパスポートは取得しておいた方が安心ですね。
パスポート申請に必要なものと申請手順
アメリカのパスポート
- Application Form DS-11(申請用紙)1部
- Evidence of U.S. Citizenship(出生証明書)原本1部
- Photocopy of U.S. Citizenship Evidence(出生証明書のコピー)白黒コピー1部
- Evidence of Parental Relationship(親子関係の証明)
- Present ID(両親の身分証明書)
- Photocopy of ID(両親の身分証明書コピー)各1部
- Parental Consent(保護者の同意)
- Passport Photo(パスポート用のカラー写真) 1枚
- Passport Fees(申請費用)
- Social Security Number(社会保障番号)
- DS-3053(両親がパスポート申請に当日同行できない場合の同意書)1部
- 出生届を病院で記入、提出
- Social Security Numberの受け取り(郵送)
- 出生証明書の申請、受け取り(郵送、ウォークインどちらも可能)
- 申請に持参するものを一式揃える
- パスポート写真の撮影
- パスポート申請用紙(Form DS-11)の記入
- パスポート申請できる場所を確認して予約
- 予約した場所でパスポート申請
- 郵送で受け取り
また緊急時には追加料金を支払って通常よりも早く手続きを行ってもらうことも可能です。
アメリカのパスポート申請についての詳細は別記事に記載しているのでこちらをご覧ください。

日本のパスポート
- 一般旅券発給申請書 1部
- 戸籍謄本(抄本)原本1部
- パスポート用写真 1枚
- 両親の写真付き身分証明証 各1部
- 米国での有効な滞在資格を示す文書 コピー1部
- 現住所を確認できる書類 1部
- 申請手数料
- 出生届の書類を記入し、在外公館へ提出
- アメリカの出生証明書の申請、受け取り(郵送、ウォークインどちらも可能)
- 日本の戸籍に反映された後、戸籍謄本(抄本)を取得してアメリカに送付
- パスポート申請に持参するものを一式揃える
- 子供のパスポート申請用紙の記入
- パスポート用写真撮影
- 在外公館または郵送にてパスポート申請
- パスポートを在外公館で受け取る(本人受け取り)
手続きに関する詳細は別記事で紹介しているのでこちらをご覧ください。

最速で日米両方のパスポートを取得するポイント
出来る限り早くパスポートを手元に受け取るために以下のことを実行しました。
- 子供の名前は出産前に決める
- 出産前に入手可能な書類は準備する
- 海外から日本の役所に出生届を提出する段取りを整える
- 書類の事前に記入できる箇所は記入しておく
- アメリカのBirth Certificateは直接オフィスで発行する
- アメリカのBirth Certificateは複数発行する
- パスポート写真は自宅撮影でアプリを利用する
- パスポートの申請場所、プランを決めておき、書類が揃ったら速やかに申請の予約をする
- アメリカのパスポートは追加料金$60を支払ってExpeditedで申請する
- アメリカのパスポートの郵送は追加料金$17.13を支払って1-2Day Deliveryで受け取る
一番のポイントは③の在外公館を通さずに日本の役所に出生届けと提出することでより早く手続きを行うことです。
この方法で手続きを行うと戸籍に反映されるまでの期間が2~3ヶ月違います。
次に、アメリカのパスポート申請では追加料金を支払って手続きと配送時間を短縮しました。
また、Birth Certificateは3枚発行するのが望ましいと思います。
使い道はアメリカのパスポート申請用、日本のパスポート申請用、手元に持っておく予備です。
両国共にパスポート取得後は返却されますが、同じタイミングで手続きをしたい場合、片方の返却を待っていては時間がかかってしまいます。

実際に両方同時進行で行った手順と期間
私が行った4週間で子供の日米両方のパスポートを取得したスケジュールを表にまとめてみました。
出産前に揃えられる書類はすべて準備しておき、同時進行で行っている手続きもあります。
日本のパスポートを早く取得できたことの理由のひとつに、住んでいたヒューストンに日本領事館があったことが大きいです。
通常の外出のような移動距離で直接領事館で申請でき、赤ちゃんを連れて受け取りに行くのも短時間の移動で済みました。
申請時に受取可能日を記入した紙を渡されたので、後日子供を連れて受け取りに行きました。
管轄の在外公館が居住地域から遠い場合は郵送で仮申請を行い、予約している受領日に訪問する時に一緒に本申請を行います。
日本の出生届や戸籍を郵送するときはFedExのInternational Priority(約$85)や郵便局のEMS(2,000円)を利用しました。料金や日数は発送元と送付先の州や都道府県によって若干違いがありますので、正確な見積もりは公式サイトで確認できます。
新型コロナウイルス影響下での手続き
さて、ここまで説明してきましたが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でパスポート申請に関する規定も変更されています。
一時は身内の生死や急病を理由とするパスポート申請以外は受付停止となっていました。
2020年11月現在もその影響は続いています。
例えばアメリカのパスポートに関して、2018年は2週間以内の渡航はPassport Agenciesを利用すれば取得できたところ、現在は4週間以内になっています。
また、Expeditedで申請してから届くまでに2~3週間だったところ、現在は倍の4~6週間かかります。
つまり通常よりも2~4週間多めに手続きの時間がかかるようになっています。
紹介した方法で2020年にパスポート申請を行うのであれば産後から日米のパスポート取得までに早くとも8週間程度かかるのではないかと予測しています。
もしも申請時に海外渡航までの日数が4週間以内である場合は、パスポートエージェンシー一択。
4週間以上あるのならば申請からフライト日までは余裕を持って6週間空けてExpeditedで申請かつ1-2 day deliveryのオプションをつけるのが確実だと思います。
- アメリカのパスポート手続期間が長くなっている
- 在外公館での手続きが要予約
- アメリカのBirth Certificate発行オフィスが閉鎖または予約訪問のみ
- 国際郵便の停止または遅延
今後も政府の方針や制度、各オフィスのルールは変更することもあるので、その都度最新の情報を確認するようにしてくださいね。
まとめ
上記のような方法で申請から手元に届くまで4週間で子供の日米両方のパスポートを取得することができました。
事前準備と追加費用の出費は必要ですが、早くパスポートが手元に届き、安心することができたのでよかったと思います。
同じように産後になるべく早く赤ちゃんのパスポートを取得したいという方のお役に立てれば幸いです。
別の記事に日本の出生届、日米パスポート申請に関する詳細を紹介しているので参考にしてみて下さいね。


